2012年06月

プルーム・テクトニクスと地震波解析

 地球科学を大きく前進させた日本発の理論『プルーム・テクトニクス』、および地震波の解析について、紹介します。この理論は、地球内部における地震波の伝播の違いを精密に測定する「コンピュータ・トモグラフィー(地震波解析)」技法の進展によって得られたもので、日本人によるオリジナルな研究の成果です。

 プルームは間欠的に起こるマントル対流を意味し、テクトニクスは地球の構造運動を表すモデルです。プルーム・テクトニクスは、プレート・テクトニクスを含むマントル対流を表すモデルで、現状では、最も多くのことを説明可能なモデルです。 


 プレートの境界は圧縮場なので、境界面に逆断層が発生します。

 海溝より海側では、沈み込む海洋プレート=スラブのうち、浅い層は引張場なので正断層、 深い層は曲げによる圧縮場なので逆断層が発生します。
 海溝より陸側では、スラブは陸側プレートの深部に沈み込んで行きます。スラブの下部は、圧縮場となって逆断層が発生します。それより上部のスラブでは、 プレートの重みで海洋プレートが引きちぎられるような力が加わると、正断層が発生します。
 陸側の深部に沈み込んだスラブは、スラブ内の間隙水圧の上昇により、脱水反応が起きます。冷たい間隙水がプレート境界の滑り面デコルマ面などを通って湧出すると、地滑りが発生しやすくなります。また、この水が陸側のマントルの一部を溶かしてマグマを発生させます。
 
 沈み込んだスラブは、陸側のマントルよりも低温な含水層です。スラブの主成分である低温の玄武岩は、低温では相転移【注4】しにくいため、密度が小さいままマントル遷移層【注1】に浮かぶように、一旦滞留します。
 この滞留するスラブ=スタグナント・スラブ(またはメガリス)は、日本列島の地下にもあり、マントル不連続面【注2】の直ぐ上に、長さ2,000km 以上に亘って横たわる冷たい構造です。
  下図は、『
スタグナントスラブを知り、マントル対流の新シナリオをつくる』 深尾 良夫氏( 海洋研究開発機構・地球内部ダイナミクス領域・領域研究代表者)より引用。
 
StagnantSlab_Fukao 一方、スラブ内の橄欖岩は、相転移【注4】が進み、玄武岩の「浮き」に対抗する「錘」の役をします。
 時間が経つと、冷たかった玄武岩も陸側のマントルで温められて、相転移が進み、「錘」に変わります。
 一定時間が経過すると、「浮き」と「錘」のバランスが崩れ、マントル遷移層【注1】に滞留していたスラブは、下部マントルへと崩落して行きます。
 この
下部マントルへと下降するマントルの流れを、コールド・プルームと呼びます。コールド・プルームは、 密度が大きくなったために、下部マントルの底=D”層【注3】まで達して堆積します。

  コールド・プルームが、マントル最深部のD”層まで達して外核を冷やすと、その反動で、流体である外核の活動が盛んになり、 D”層の別の場所が暖められて、ホット・プルームの上昇が起きる、と考えられています。

  ホット・プルームは、マントル物質(橄欖岩)が細い管のような状態で上昇してゆく流れです。上昇流の最上部は、キノコのような形状をしており、巨大なキノコの傘の部分に、温かいマントル物質が溜ります。そこから、枝分かれしたマントル物質が上昇します。
 
 
マントル物質の流れが直線的な割れ目に入っていけば、中央海嶺になります。キノコからそのままマントル物質が上昇すれば、活動域が最大1000kmに達するような超巨大火山を形成します。海嶺も巨大火山も、「南太平洋スーパー・プルーム」のように、巨大なマントル溜りがあるため、活動期間は1000万年から数億年に及ぶこともあります。

 現在の地球上で、 ホット・プルームが上昇しているのは、ハワイやアイスランドなどのホット・スポットです。巨大なスーパー・プルームの上昇は、過去には超大陸の分裂を惹き起こしたり、大量のガスを放出して気候変動の原因になったこともありました。

 ホット・プルームは、10億年前の海洋プレートに由来するという説もあります。この説の場合、沈み込んだ海洋プレートが、コールド・プルームとして下降し、D’’層として長らくマントルの底にあったものが、10億年の時を経て、地表に戻ってきたことになります。

 また、  コールド・プルームとホット・プルームの上昇は、約1億年周期で起きるのではないか、という説もあります。1 億年ほど前(白亜紀前期)には、数千万年に亘って全く、地磁気逆転がありませんでした。この時代、プレートの移動が早く、火山活動が活発で、地球は非常に温暖な気候でした。この時代に、スーパー・プルームの上昇があったのではないかと推測されています。

 【注1】マントル遷移層は、地震波速度が深さと共に急増する場所で、上部マントルと下部マントルの境界に位置し、深さ 410km~660km にあります。
 【注2】マントル不連続面は、マントル遷移層【注1】の最下部の深さ 670km にあり、20万気圧、1400℃です
 【注3D”(ディー・ダブル・プライム)層=コア・マントル境界は、下部マントルと外核の境界に位置し、深さ2700km にあります。ここは、下降してきた海洋スラブの溜まり場です。
 【注4】相転移は、水(液相)⇔氷(固相)水蒸気(気相)のような、物質の性質の外的要因による変化を指します。マントル不連続面【注2】までの上部マントルの構成物質は、深さ 410km、520km の境界を移動する毎に、オリビン(α相)変形スピネル相(β相)スピネル(γ相相転移し、結晶構造が変化、密度も変化します。
  
 上部マントルの主成分であるペリドタイト(橄欖岩、(SiO2 , MgO, FeO)より成る)は、オリビン(橄欖石)が主体ですが、水と高圧の関与により、オリビン( (Mg,  Fe)2 SiO)⇒スピネル( (Mg, Fe) Al2O)の相転移 【注4】 が生じます。
 オリビンからはペリドットと呼ばれる黄緑色の宝石、スピネルは赤・青・紫・ピンクの宝石を産出します。
 

太陽磁場の4極構造化と地球寒冷化予測

地球寒冷化予測について、新しい知見を紹介します。

●4月19日の国立天文台のお知らせ記事『太陽観測衛星「ひので」、太陽極域磁場の反転を捉えた』 
  4月19日の  国立天文台のプレス・リリース『太陽観測衛星「ひので」、太陽極域磁場の反転を捉えた』 
●4月20日の朝日Web版『太陽が冬眠?地球に低温期到来の可能性』  
●6月24日の日経Web版『太陽に異変 静穏化で地球は寒冷化するのか』(日経サイエンス8月号の紹介記事)

【前提】太陽活動の変化は11年周期とされる黒点の変動によって知ることができます。 
 黒点は、太陽活動で生まれる巨大な磁力線の束と考えられています。

 太陽は、水素やヘリウムの原子を衝突させて核融合を起こし、熱を生み出しています。この熱で、水素などのガスは、電子が分離してプラズマ状態になって内部を対流します。それがコイルの働きをして磁場が発生すると考えられています。これが磁力線の束となって表面から飛び出し、再び太陽に戻ります。 このループ状になった磁力線の出入り口は温度が低いため、黒い点に見えます。太陽の活動が活発になると、ガスの対流が盛んになって磁力が発生しやすくなり、黒点が増えると考えられています。【ダイナモ・モデル】
 黒点数のピークを極大期、底を極小期と呼びます。
CoronaHall
 太陽から吹き出す超音速(300~700km/s)のプラズマ流を太陽風と呼び、太陽系の全惑星を包みこんで流れています。上図は、名大地球環境研究所 小島正宜氏の『太陽風プラズマ』より引用。
 極小期には、高速太陽風が南北極域を中心にして発達し、低速太陽風は赤道付近に細い帯となって存在します。
 極小期には極域の磁場強度が増大し、コロナホールと呼ばれる領域が高緯度を中心に発達し、高速風の源となります。  
 極大期には、高速風が衰退し、太陽全面から低速風が吹き出します。地球軌道は太陽の赤道付近にあるので、太陽活動サイクルの全期間を通じて地球に到来するのは、主として低速風です。

 黒点は内部の磁場を乱すため、黒点数が極大になると太陽の磁場は弱まり、南極と北極の磁場が同時に反転します。この期間が11年。ただ、南北の磁界の向きは、元に戻るのにさらに11年かかります。つまり、太陽の磁場は、約22年で変動を繰り返しています。 
 太陽の磁場構造は、南北が反対の極性を持つ「2極構造」で、通常、太陽活動の極大期に南北の極性が、同時に入れ替わります(下写真の左側は、極小期)。
 太陽の周期的な活動に異変が起きると、北と南がN極で、赤道付近がS極という、「4極構造」を取ることがあります(下写真の右側は、近未来予想)  下写真は、国立天文台/JAXA 提供。 
太陽地場4極構造
【現状1】 日本の太陽観測衛星「ひので」(2006年9月打ち上げ)の観測によって、太陽の南北の極域磁場の様子が、異常な形を取りつつあることが分って来ました。 
 北極がS極で南極がN極だったものが、今年に入り、南極がN極を維持したまま、北極がS極からN極に変わりつつあります。即ち、北極の反転だけが早まっており、近年の観測では確認されていなかった4極構造状態に入り始めています。 
 こうした変則的な磁場構造は、最近の研究によると、「マウンダー極小期」と呼ばれる、17世紀を中心とした近世の寒冷期(1645年~1715年)に起きていたようです。

【現状2】 最近の黒点数は、現在、約100年ぶりの低水準だそうです。
 黒点活動は、ガリレオの時代からの観測の蓄積があり、今回は
 「マウンダー極小期」と似ているそうです。
 太陽の極域磁場が4極構造状態に入り始め、南北の極域磁場が1/2に減少した結果、赤道域に高速風が吹き出し初め、低速風は南北の中緯度帯の2つに分離しています。
 

 太陽活動が低下しても、地球への日射量はそれほど減りませんが、低速の太陽風が極小となって遮蔽物を失うために、現在は、大量の銀河宇宙線が地球に降り注いでいる状態です。

 荷電粒子である宇宙線が増えると宇宙線が生み出すイオンの効果で雲の核が形成されやすくなり、雲に溜まる電荷が増えて雲の成長が促進され気温低下・雨量増加が起こるのではないかと予測されています。

 太陽活動が極端に低下し、銀河宇宙線の量が増えた「マウンダー極小期」には、地球に飛来する宇宙線が強くなり、空気のCO2に占める炭素14の量が増えたことが、台風で倒れた室生寺の樹齢392年のスギなどの年輪を分析して、判明しています。

 一方、酸素16と酸素18の比率から、当時は雨が多かったことも分かっています。
 この「マウンダー極小期」は、現在と比べて寒冷で、 世界規模の飢饉が起きたことが分かっています。


【まとめ】地球温暖化」ではなく、「地球寒冷化」が心配になりますね。
 『不都合な真実』を映画化して「地球温暖化」キャンペーンの口火を切った、米国のアル・ゴア元副大統領のお姿も最近は見かけませんが、今は何をなさっているのでしょう?「地球寒冷化」対策?

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