国道152号で中央構造線と秋葉街道を辿る (5)
≪ (4)からの続き ≫
入沢井・中峰林道の分岐を過ぎると、国道の両側に、小規模な棚田が現れ、人家が散在しています。時々、東の山に登ってゆく急坂が現れます。沢を渡る所にこそ網のフェンスがあるものの、それ以外にはガードレールのない道が、生活道路に使われているようです。凍結する時期には慣れないと危ない道です。
棚田が切れて、鹿塩川が国道のすぐ西側を流れている河畔では、対岸が近くに見え、比較的最近崩落したと思われる領家変成岩の岩肌が
<図42.急坂で沢を渡る道路> 目立ちます。
国道標識のポールに付随する地名標識「大栗」が現れ、足元に青みを帯びた三波川変成岩が見えます。対抗方向の国道標識のポールに付随する地名標識は「柳島」です。「柳島」が現れ
るのは2回目です。つまり、先述の (4)で、私は勘違いしていました。ここまでが柳島集落だったのです。 <図43.地名標識「大栗」&三波川変成岩>
やがて、赤い橋梁の橋が現れ、袂には秋葉古道の木製立札が立っています。橋の向こうには集落が見えます。こちらが大栗の主な集落で、かつての秋葉街道は集落側を通っていたのでしょう。
集落をバイパスする新しい国道を進むと、相変わらず東は崖を削った擁壁が所々に現れ、西は道路ぎりぎりを鹿塩川が流れていますが、川向こうに点在する人家に気持ちが安らぎます。
少し進むと、対抗方向で、国道標識のポールに付随する地名標識「大栗」が現れ、ここ迄で
<図44.大栗橋から見る鹿塩川> 大栗集落は終わります。
先程分岐した秋葉古道が戻って来る橋が見あります。袂にはやはり、秋葉古道の木製立札が立っていますが、こちらは墨が流れて読めません。
秋葉古道の戻り口より手前の国道の東側に、入沢井・中峰林道への分岐があり、(4)で先述した分岐の戻り口になっています。
ヘアピン・カーブの続く中峰の林道沿いに、何か所か纏まって、鹿塩の集落があります。
急坂となる分岐の入口には、「青いケシ 大池方面」の立て看板があり、 <図45.大栗集落の橋から見る鹿塩川> 対向方向には「するぎ(駿木)農園村3.5km」の木製標識や、10分で着くという農家レストランの看板が立っています。
この分岐を過ぎると、国道の東側に小さな棚田が現われ、周辺に人家が点在し、続いて大鹿中学校が現われます。ここは塩原集落です。
擁壁が切れて、東側の斜面に豆類が植えられている所では、鹿塩川と国道の間に、都会からの自炊客を対象にした「農村体験館」の建物が並んでいます。ここは、都市農村交流事業として設立20年を超える、日本型グリーン・ツーリズムの先進地だそうです。
この種の施設への訪問を切っ掛けに、大鹿村に I ターンした人も100名を超えるそうです。移住者へのインタビューでは、地元民の気さくな親切が身に染みて、移住を決意し <図36.鹿塩の農村体験館> た人が多いようです。
蛇行する鹿塩川に沿って国道も蛇行し、東側に高い擁壁が続いた後、道幅が1.5車線ほどに広くなり、崖の上に蕎麦屋が現れます。その先で、国道標識のポールに付随する地名標識「大塩」が現れます。大塩の集落です。標高は890mで、中峰黒川林道分岐から33mしか下っておらず、カーブは多いものの、かなり平坦な道になっていることが分かります。
ここの対向方向に、「この先 分杭峠 大型車両(ホイール・ベース5m以上) 通り抜けできません 飯田建設事務所」という看板が登場。これは私たちの通ってきた道の話ですから、逆に、進行方向には、 <図37.小塩地滑り地帯のアンカー工事> 間もなくセンター・ラインが登場し、道幅が2車線になることを期待させます。
国道沿いに住宅が点在する大塩の集落を抜けると、西流して来た小さな沢と鹿塩川の合流点の橋があります。その橋の手前で、国道にセンター・ラインが現れます。
橋を渡って国道を進むと直ぐ、東の高い擁壁の前に、斜度標識「下り勾配10.5%」のポールが現れます。このポールに付随する地名標識は、標識のある場所が「小塩」であることを表しています。
この位置で、国道西側の林の中に、消えかかった細い道が分岐して行きます。秋葉古道は、崖を切り崩すことなく、迂回していたものと思われます。
国道沿いは高い擁壁が断続する小塩の集落ですが、崖の上や、国道と鹿塩川の間に人家が散在しています。
崖と林が切れると、人家の先に、迂回していた秋葉古道が戻って来ます。
<図38.斜度標識&「小塩」の地名標識>
西流して来た大きな沢と鹿塩川の合流点の橋の手前で、東に沢沿いの道が分岐しています。分岐の角に大き
な桜の木があり、「夫婦桜」の札が立っています。
橋の上からは、沢の対岸に「小塩地区 直轄 地すべり防止事業 林野庁中部森林管理局」という看板が見えます。
ここは、国内有数の大規模地滑り地帯で、昭和40年代には年間1.5mほど動いていたそうです。対策工事の結果、今では動きが止まっていますが、今度はその上部が動いているようで、現在、GPSで観測中だそうです。
小塩地区の地滑り地帯は、(1)に先述した三波川変成岩類の結晶片岩
(黒色片岩や緑色片岩)の地層で、薄く剝れ易い特徴があり、何かあると、大規模な崩落を起こします。
ここでは、元々脆い地盤を、大量の地下水が崩壊させると考えられてお <図39.「小塩地区地すべり防止事業」の看板>り、集水井や集水トンネルが作られ、補強アンカーが打込まれていますが、そのトンネル工事中にも出水でトンネルが崩落したり、水圧でアンカーが吹き飛ぶなど、工事は度々難航 するようです。
袂に「夫婦桜」のある橋を渡ると、対向方向で、国道標識のポールに付随する地名標識「小塩」が現れ、ここ迄で小塩の集落が終わります。
東の高い擁壁と、西の鹿塩川に挟まれた谷間の道を南進すると、擁壁が切れた辺りから、国道の両側に小さな集落が見えてきます。
対向方向で、ブルーの行先標識「入沢井・中峰」のポールが現れ、入沢井・中峰林道が、国道から東へ分岐する急坂があります。このポールに付随する地名標識は、標識のある場所が「柳島」であることを表しています。 即ち、対向方向の集落標識が「小塩」~「柳
島」の間が、柳島集落だったことになります。
この標識ポールの足元に、「青いけし」の立て看板があります。私たちの進行方向には、地名標識はないものの、行先標識と「青いけし」の立て看板だけはあります。
<図40.入沢伊・中峰林道分岐&「柳島」標識>
入沢井・中峰林道は、中峰~入沢井経由で、大池高原に通じています。大池高原を経由して、中峰・黒川林道に通じています。即ち、儀内路集落で国道152号から分岐し、北川・黒川 牧場に至る、(3)に先述の林道と繋がっています。
大池高原には、澄んだ水を湛える大池(周囲2km)や、高山植物の咲く湿地帯があります。近くには、ヒマラヤの「青いけし」を育てている農園もあり、この林道は、花の季節には賑わいます。
大池高原の西斜面を直滑降すると、小塩地区に至ります。即ち、大池高原は小塩地区の山頂部に相当します。大池と周辺の湿地帯の豊富な水 <図41.クリンソウ(九輪草)咲く大池周辺の湿地>量が、元々地盤の脆い小塩地区に、地滑りを齎しているように見えます。
≪ (4)からの続き ≫
入沢井・中峰林道の分岐を過ぎると、国道の両側に、小規模な棚田が現れ、人家が散在しています。時々、東の山に登ってゆく急坂が現れます。沢を渡る所にこそ網のフェンスがあるものの、それ以外にはガードレールのない道が、生活道路に使われているようです。凍結する時期には慣れないと危ない道です。
棚田が切れて、鹿塩川が国道のすぐ西側を流れている河畔では、対岸が近くに見え、比較的最近崩落したと思われる領家変成岩の岩肌が
<図42.急坂で沢を渡る道路> 目立ちます。
国道標識のポールに付随する地名標識「大栗」が現れ、足元に青みを帯びた三波川変成岩が見えます。対抗方向の国道標識のポールに付随する地名標識は「柳島」です。「柳島」が現れ
るのは2回目です。つまり、先述の (4)で、私は勘違いしていました。ここまでが柳島集落だったのです。 <図43.地名標識「大栗」&三波川変成岩>
やがて、赤い橋梁の橋が現れ、袂には秋葉古道の木製立札が立っています。橋の向こうには集落が見えます。こちらが大栗の主な集落で、かつての秋葉街道は集落側を通っていたのでしょう。
集落をバイパスする新しい国道を進むと、相変わらず東は崖を削った擁壁が所々に現れ、西は道路ぎりぎりを鹿塩川が流れていますが、川向こうに点在する人家に気持ちが安らぎます。
少し進むと、対抗方向で、国道標識のポールに付随する地名標識「大栗」が現れ、ここ迄で
<図44.大栗橋から見る鹿塩川> 大栗集落は終わります。
先程分岐した秋葉古道が戻って来る橋が見あります。袂にはやはり、秋葉古道の木製立札が立っていますが、こちらは墨が流れて読めません。
秋葉古道の戻り口より手前の国道の東側に、入沢井・中峰林道への分岐があり、(4)で先述した分岐の戻り口になっています。
ヘアピン・カーブの続く中峰の林道沿いに、何か所か纏まって、鹿塩の集落があります。
急坂となる分岐の入口には、「青いケシ 大池方面」の立て看板があり、 <図45.大栗集落の橋から見る鹿塩川> 対向方向には「するぎ(駿木)農園村3.5km」の木製標識や、10分で着くという農家レストランの看板が立っています。
この分岐を過ぎると、国道の東側に小さな棚田が現われ、周辺に人家が点在し、続いて大鹿中学校が現われます。ここは塩原集落です。
擁壁が切れて、東側の斜面に豆類が植えられている所では、鹿塩川と国道の間に、都会からの自炊客を対象にした「農村体験館」の建物が並んでいます。ここは、都市農村交流事業として設立20年を超える、日本型グリーン・ツーリズムの先進地だそうです。
この種の施設への訪問を切っ掛けに、大鹿村に I ターンした人も100名を超えるそうです。移住者へのインタビューでは、地元民の気さくな親切が身に染みて、移住を決意し <図36.鹿塩の農村体験館> た人が多いようです。
蛇行する鹿塩川に沿って国道も蛇行し、東側に高い擁壁が続いた後、道幅が1.5車線ほどに広くなり、崖の上に蕎麦屋が現れます。その先で、国道標識のポールに付随する地名標識「大塩」が現れます。大塩の集落です。標高は890mで、中峰黒川林道分岐から33mしか下っておらず、カーブは多いものの、かなり平坦な道になっていることが分かります。
ここの対向方向に、「この先 分杭峠 大型車両(ホイール・ベース5m以上) 通り抜けできません 飯田建設事務所」という看板が登場。これは私たちの通ってきた道の話ですから、逆に、進行方向には、 <図37.小塩地滑り地帯のアンカー工事> 間もなくセンター・ラインが登場し、道幅が2車線になることを期待させます。
国道沿いに住宅が点在する大塩の集落を抜けると、西流して来た小さな沢と鹿塩川の合流点の橋があります。その橋の手前で、国道にセンター・ラインが現れます。
橋を渡って国道を進むと直ぐ、東の高い擁壁の前に、斜度標識「下り勾配10.5%」のポールが現れます。このポールに付随する地名標識は、標識のある場所が「小塩」であることを表しています。
この位置で、国道西側の林の中に、消えかかった細い道が分岐して行きます。秋葉古道は、崖を切り崩すことなく、迂回していたものと思われます。
国道沿いは高い擁壁が断続する小塩の集落ですが、崖の上や、国道と鹿塩川の間に人家が散在しています。
崖と林が切れると、人家の先に、迂回していた秋葉古道が戻って来ます。
<図38.斜度標識&「小塩」の地名標識>
西流して来た大きな沢と鹿塩川の合流点の橋の手前で、東に沢沿いの道が分岐しています。分岐の角に大き
な桜の木があり、「夫婦桜」の札が立っています。
橋の上からは、沢の対岸に「小塩地区 直轄 地すべり防止事業 林野庁中部森林管理局」という看板が見えます。
ここは、国内有数の大規模地滑り地帯で、昭和40年代には年間1.5mほど動いていたそうです。対策工事の結果、今では動きが止まっていますが、今度はその上部が動いているようで、現在、GPSで観測中だそうです。
小塩地区の地滑り地帯は、(1)に先述した三波川変成岩類の結晶片岩
(黒色片岩や緑色片岩)の地層で、薄く剝れ易い特徴があり、何かあると、大規模な崩落を起こします。
ここでは、元々脆い地盤を、大量の地下水が崩壊させると考えられてお <図39.「小塩地区地すべり防止事業」の看板>り、集水井や集水トンネルが作られ、補強アンカーが打込まれていますが、そのトンネル工事中にも出水でトンネルが崩落したり、水圧でアンカーが吹き飛ぶなど、工事は度々難航 するようです。
袂に「夫婦桜」のある橋を渡ると、対向方向で、国道標識のポールに付随する地名標識「小塩」が現れ、ここ迄で小塩の集落が終わります。
東の高い擁壁と、西の鹿塩川に挟まれた谷間の道を南進すると、擁壁が切れた辺りから、国道の両側に小さな集落が見えてきます。
対向方向で、ブルーの行先標識「入沢井・中峰」のポールが現れ、入沢井・中峰林道が、国道から東へ分岐する急坂があります。このポールに付随する地名標識は、標識のある場所が「柳島」であることを表しています。 即ち、対向方向の集落標識が「小塩」~「柳
島」の間が、柳島集落だったことになります。
この標識ポールの足元に、「青いけし」の立て看板があります。私たちの進行方向には、地名標識はないものの、行先標識と「青いけし」の立て看板だけはあります。
<図40.入沢伊・中峰林道分岐&「柳島」標識>
入沢井・中峰林道は、中峰~入沢井経由で、大池高原に通じています。大池高原を経由して、中峰・黒川林道に通じています。即ち、儀内路集落で国道152号から分岐し、北川・黒川 牧場に至る、(3)に先述の林道と繋がっています。
大池高原には、澄んだ水を湛える大池(周囲2km)や、高山植物の咲く湿地帯があります。近くには、ヒマラヤの「青いけし」を育てている農園もあり、この林道は、花の季節には賑わいます。
大池高原の西斜面を直滑降すると、小塩地区に至ります。即ち、大池高原は小塩地区の山頂部に相当します。大池と周辺の湿地帯の豊富な水 <図41.クリンソウ(九輪草)咲く大池周辺の湿地>量が、元々地盤の脆い小塩地区に、地滑りを齎しているように見えます。
【注】 日没後の国道に関する画像に限り、後日、Google Street View でトレースしたものです。
文責 : 南アルプスJGN全国大会に参加したHP&ブログの担当スタッフ in 銚子ジオパーク推進市民の会
≪ (6)に続く ≫
文責 : 南アルプスJGN全国大会に参加したHP&ブログの担当スタッフ in 銚子ジオパーク推進市民の会
≪ (6)に続く ≫